種苗法,強制実施権 対話(2020.5.29)

SHINICHIRO HONDA

種苗法と特許法は違うと思っている人がいるかもしれませんが,種苗法は特許法の範囲内にあり,種苗は工業製品に比べて公共性が高く,情報と物体が一体なので,強制実施権が存在することが当然です。だからこそ,公共の試験場が穀物やイモの育種をおこなっているのです。

たとえば,台湾は,以前から法整備のスピードが非常に早く,2010年の種苗法の改正時に,強制実施権を明記しています。台湾での登録品種の栽培の許諾を拒否することなどできません。台湾に限らず,パリ条約第5条の精神からすれば,世界中のどこの国であっても,登録品種の実施権を拒否することなどできません。

中国では(日本でもある),商標を山のようにとって,外国のメーカーから,商標権を買い取らせることがよくあります。まさしくあれが,アジア的な知財の発想です。

もともと,特許法は,ガリレオや華岡青洲のような才能のある人が情報を秘匿すると人類の損失なので,才能のある人の名誉と権利を認め,情報を広く世界に公表してもらうための法です(ヴェネツィア特許法)。

特許のことを知悉しているヨーロッパ人から見ると,すべての人類の発展のための理想を逆手にとってつけこむような人間は,悪魔のように見えるでしょう。トランプと習近平が,知財をめぐって,ののしりあうのも,このためです。

アジア人のトップである習近平が,特許法の近代文明における歴史的意味を理解していないということは,ほとんどのアジア人が特許法を理解していないということです。

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