特許,種苗法 対話(2020.5.27)5

日本をはじめ,ヨーロッパ以外の地域では,特許制度が導入されたのは遅く,社会に感覚として定着していません。

世界最古の特許法は,ヴェネチア共和国の法で,1443年に認められた,アントニウス・マリニの「水無しで動く製粉機」の特許と言われています。20年の独占製造権が与えられています。日本は室町時代です。

特許制度は,20年たてば,誰でも技術をコピーできるので,消費者に大きな利益になります。また情報が公開されるので,社会に情報が広がり,技術開発がすすみます。

特許制度が無いと,知的財産を守るために,情報を秘匿します。アナトリアで発明された製鉄技術は,ヒッタイトが独占し,鉄は金よりも高価であったと伝えられています。

江戸時代中期に,世界で初めて全身麻酔薬を発明した華岡青洲は,自分の医術を徹底して秘匿し,麻酔薬の製造法を隠しました。このため,青洲の麻酔薬の製法は不明で,歴史のなかに埋もれてしまいました。

青洲に限らず,日本には一子相伝という言葉があるように,技術を公開しないで秘匿することがふつうで,そのことに誰も疑問を持ちません。技術が伝承されるという長所もありますが,青洲のように進歩が止まってしまうという大きな欠点があります。

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