国家の生産性と企業の生産性

以下は、「FB農業者倶楽部」でのコメント。

生産性を論じるときは、国家の生産性と企業の生産性を別々に考えなければなりません。北欧諸国、ロシア、アメリカ、サウジアラビアのような、資源国や広大な農地を有する国は、自国の領土内にエネルギーや利用資源が豊富に存在するので、国家全体では生産性が高くなります。

国家の生産性が高いと、自国の国民の賃金は、高くなります。賃金が高いと、国内の企業の生産性が低くなるので、国内企業の競争力が低くなります。

製造業など多くの労働者を必要とする企業は、賃金が高い国内では生産できないので、生産拠点を海外に移す、低賃金の外国人労働者を雇う、他国から移民を受け入れるなどの方法をとるしかありません。

北欧諸国、ロシア、サウジアラビアは石油や天然ガスが豊富で豊かですが、民間のグローバル企業は多くありません。スウェーデン発祥のイケアは本社をオランダに移しました。

ドイツ経済が一人勝ちしているのは、ユーロという共通通貨によって通貨高にならず、東欧やトルコからの低賃金労働者を雇用しているからです。

日本国内では東京だけが財政的に潤い、地方の自治体は慢性的に赤字になるのと同じです。一国内であれば地方交付税で均衡がはかれますが、EUでは、技術国のドイツや資源国の北欧以外の国は、財政赤字が膨らみます。

日本や韓国のように、自国内にエネルギーや資源が少なく、移民を入れない国で、賃金が上昇すると、生産コストが上昇して国内企業の競争力が低くなります。

国内製造品の競争力が低くなると、輸出量が減ります。企業はコストを下げるために、国内での生産量を減らしたり、工場を海外に移して労働者を解雇したりします。

企業は輸出で得たドルを円に換えて国内の労働者に賃金を払いますが、国内の生産量や労働者が減るので、円をあまり買わなくなります。つまり、円安になります。

韓国では大幅に賃金を上げたために、ウォンが暴落しています。

日本や韓国は、エネルギーを海外に依存しているので、通貨安になると、石油や穀物の価格が上がってインフレになります。つまり、労働者は、賃金が上がっても、インフレになるので、実質賃金は上がりません。

通貨安になると、輸入が減って輸出が増えるので、貿易収支や為替は、もとの状態にもどっていきます。

結果的には、賃金を上げても労働者の実質賃金が上昇するわけではなく、工場などの生産拠点が海外に移転することになります。

日本国内は団塊の世代が引退して、労働力不足なので、生産拠点が海外に移ることは自然で望ましいのかもしれません。

なお、国内の最低賃金を一律にするという議論がありますが、最低賃金を一律にすることは、低賃金であった地方の使用者にとっては、低賃金の有利性が無くなることを意味します。つまり、いままで低賃金だった県の使用者ほど不利で、高賃金だった県の使用者ほど有利になります。

「農業従事者」といっても、使用者と被用者では、利害がまったく逆になります。ここでは農家=経営者でしょうから、使用者です。

最低賃金を一律にすると、いままで国内の地方に工場を置いていた企業は、地方工場の経営が悪化するので、地方工場の生産量を減らしたり、工場を閉鎖して、ベトナムやインドネシアに工場を移転したりするでしょう。地方では失業者が増えるので、結局、最低賃金をまた下げることになるでしょう。

地域別最低賃金の全国一覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

投稿者: jcmswordp

著述、企画、編集。農家が教えるシリーズなど

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