自然農法とは何か ゆらぎとエントロピー

目次

序、自然農法を書く理由

自然農法について調べ始めたのは、20年くらい前のことだ。一番の理由は、福岡さんが存命のうちに、会って話を聞いておかないと、二度と聞けなくなると思っていたからだ。農業のことを多少でも知っている人なら、福岡さんの主著である『無』を読めば、その先駆的な内容にびっくりするであろう。福岡さんが自然農法に取り組み始めたのは1937~38年であり、『無』が最初に発表されたのは、終戦直後の1947年だ。ハワードの『農業聖典』の発表が1940年なので、ほぼ同時期である。

有機農業や自然農法についての本は山ほど出版されているが、読んでみて、「なるほど」と思える本はほとんど無い。有機農業の理論については、『農業聖典』を超えるテキストはないし、自然農法では『無』以上の本は存在しない。両方とも70年も前の本だ。

福岡さんや川口さんに会って話を聞いたあと、2003年に自然農法の稲作について、短い文章を書いた。しかし、それ以上、自然農法について書く熱意を無くしてしまった。有機農業についても同様で、何十人もの有機農家に会ってきたし、同じころにアメリカの有機農場を何軒も尋ねて短い文章を書いたりした。しかし、やはり有機農業についても、それ以上書く熱意を無くしてしまった(2016年にようやくまとめた)。

有機農業も自然農法もちゃんと理解しようとすれば、大量の歴史書や技術書に目を通さないといけなし、膨大な数の現実の農家に会って、目で見て、きれいごとではない本音を聞き出さないと、文献の信頼性や有用性を見抜けない。それを他の人に伝えるには、さらに何倍ものエネルギーがいる。そんな時間もないし、意味もないのではないだろうか・・・。いつの間にか、十数年もの月日がすぎ、福岡さんも亡くなってしまった。

農業や農家のことを知れば知るほど、根源的なところでは、みなそれほど違わない。アメリカの世界最大の有機農場も、数千ヘクタールの慣行農家も、日本の小さな直売農家でも、まったく同じ農業の言葉が通じる。同じ人間である以上、生きることや生き方には大きな違いがあるわけではないし、ましてや農家は同じ仕事に従事している。

もちろん、農家の生き方には、それぞれの個性がある。個性は農業技術や経営方法にあらわれるが、作物がじっさいに収穫できているということは、そこには科学的な合理性がかならず存在するし、経営が成り立っているということは、かならず経済的な有利性が存在する。

逆に、理論や思想がどんなに立派でも、作物が収穫できなかったり、経営が成り立たなければ何の意味もない。最新の植物工場のように、どんなに最先端の科学技術を駆使して、経営的なノウハウを持った大企業が投資しても、合理性と有利性がなければたちまち潰れてしまう。

その意味では、有機農業だからとか、自然農法だからとか、ことさら取り上げることは、論理的には意味が無い。どのような農法であろうが、どのような経営方法であろうが、法や倫理に反しなければ、すべて自由であり平等だ。ただ、未来の人類のために、環境や資源を残しておくことは、現代に生きる我々の義務であり、我々自身のためでもある。そのことを無視することはできない。

有機農業や自然農法には、宗教の問題もある。おもなところでは、ルドルフ・シュタイナーの人智主義思想や、岡田茂吉を教祖とする世界救世教の農法などが存在する。私は、無神論者なので、宗教的な教義やそれに基づく農法にはまったく関心がない。もっとも宗教や信仰の自由は、世界中で認められており、宗教自体を否定したり批判したりはしないが、肯定することもない・・・・・

1、有機農業の黎明
ルドルフ・シュタイナー
アルバート・ハワード
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F・H・キング
イブ・バルフォア
J・I・ロデイル
ハンス・ミュラーとマリア・ビグラー

2、環境問題とオーガニック市場の成長
レイチェル・カーソン『沈黙の春』の衝撃
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IPM(総合的病害虫管理)の始まり
生物多様性
オーガニック市場の急成長

3、リン資源の枯渇
リン獲得のコスト
リン施用の歴史
リン資源の枯渇

4、福岡正信
自然農法のはじまり
懐疑=「知」のゆらぎ
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宗教
自然農法の四大原則=結果の可能性と可用性
耕耘
肥料
雑草
病害虫

5、クローバー草生米麦連続不耕起直播
作業手順
品種
雑草対策
粘土団子
肥料

6、農業技術者、農業指導者としての福岡正信
現代の農業に与えた影響
二人しかいない福岡さんの弟子
浅野祐一さん
付記

7、川口由一
自然農を開始するまで
自然農の稲作り
草が土を肥沃にする
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赤目自然農塾
付記

8、木村秋則
リンゴの自然栽培
草生栽培と病害虫
草生栽培と栄養素(養分)

9、エネルギーとエントロピー
ハワードの自然観
福岡正信の自然観
現代人が生きる世界

10、補、腐植栄養説と無機栄養説
アルブレヒト・テーア
カール・シュプレンゲル
ユストゥス・フォン・リービヒ
有機態窒素を吸収する作物

11、補、窒素を固定する生物
マメ科作物の利用の歴史
窒素固定菌の種類
根粒菌

12、補、難溶リンを吸収する植物
土壌中のリンの形態
難溶リンを吸収できる植物

あとがき
文献

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投稿者: jcmswordp

著述、企画、編集。農家が教えるシリーズ(農文協)など

“自然農法とは何か ゆらぎとエントロピー” への 2 件のフィードバック

  1. 自然農法と言っても何もしないわけではない。 私自身25年間色んな本を読み、実行し、取り敢えず辿り着いたのが『耕さない田んぼ』不耕起栽培である。 苗作りから収穫後まで眼を見張る1年が過ぎ、気がついたら4年もやっていた。面白い農法である。
    二本の苗が28本にもなり驚きである。品種を問わず作れる農法。
    詳しくは 岩澤信男先生の『耕さない田んぼ』『不耕起でよみがえる』を読んで見たらお分かりになると思う。

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