炭と微生物、炭と植物の謎

sumi

炭を田畑に入れると、作物の生育によい影響があることは、昔から経験的に知られている。農家は、堆肥づくりに炭を混ぜたり、もみ殻をくん炭に焼いて苗代に撒いたり、発芽床や育苗床の培土にくん炭を混ぜたりして炭を利用してきた。

ただ、どうして炭を入れると、植物の生育によい影響がでるのかは、わかっていない。一般的には、炭は微生物のすみ家になるとか、有害成分を吸着するなどといわれているが、松橋通生氏(東京大学名誉教授・元東海大学教授)は、これらの説を否定している。松橋氏は、炭を好み、その周囲に繁殖する好炭素菌の存在を発見し、さらに下図のような実験によって、炭には細菌を増やす働きがあることを解明した。

炭3

炭と菌が接触していないのに、菌が増殖するのは、炭やグラファイト(黒鉛)が、超音波(細胞音波またはバイオソニックス)を出しているからである。炭には、赤外線などの電磁波を浴びると、そのエネルギーを超音波に変えて発信する性質がある。ある種の細菌は、炭が出す超音波を好み、適度な強さの超音波があると元気になる。また、細菌自身も超音波を自由に発信することができ、細菌どうしで交信している。松橋氏と共同研究を行った大谷杉郎氏(元群馬大学名誉教授・元東海大学教授)によれば、グラファイトの結晶に赤外線レーザーを当てると、カスミ菌(最初に空気中から分離された好炭素細菌)の増殖促進にちょうどよい波長の超音波が出るという。さらに、細菌だけでなく、植物や樹木も、さまざまな音波を発信していることがわかっている。

炭が出す超音波には、細菌や細胞を活性化する働きがあるとすると、炭によって植物の発芽や生育がよくなるのは、この超音波のせいではないかと想像することができる。さらに、この超音波には、樹木の花芽分化を促進する働きもあるのではないだろうか。

それは、生物の進化から考えても、理にかなっている。生物種どうしが激しい生存競争をくり広げているような環境で、あるとき山火事が発生したとする。すると、そこには広範囲のニッチ(すき間)が生じることになるので、周辺の植物たちは、少しでも早くこのニッチに進出しようとするであろう。植物は土壌や日照を求めて競争するので、相手より少しでも早く進出したほうが有利である。土壌中で休眠していた種子はより早く発芽しようとするし、球根や塊茎はより早く根を伸ばそうとするし、樹木はより早く実を着けようとする(花芽分化する)であろう。その活動を開始するサインが、山火事でできた炭が発信する超音波と考えれば、つじつまはあう。

試験場でも、大学でも、民間機関でもよいので、どなたかこの超音波と種子発芽の関係、超音波と花芽分化の関係を解明してくれる研究者の方はいないでしょうか?もし、これらの謎が解明されれば、より安定した作物の発芽や、果樹の隔年結果の軽減に利用できるのではないだろうか。

炭とことん活用読本―土・作物を変える不思議パワー
農山漁村文化協会
売り上げランキング: 386,617

 

広告

投稿者: jcmswordp

著述、企画、編集。農家が教えるシリーズ(農文協)など

“炭と微生物、炭と植物の謎” への 2 件のフィードバック

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中